キドマイティは、非常に小型でよく出来たモータなのですが、実際に使用してみると、
といった問題があります。
これらの問題を解決するためには、2つの方法があります。
1つは、巻線を量を増やすということです。
もし、キドマイティの巻線が、φ0.07 100ターンだったとすれば、同じ巻線径で巻数を150ターンに増やせれば、無負荷回転数は1/1.5に落とせるはずです。
同じ巻数で線径をφ0.08に太く出来れば、起動トルクを1.14倍にできるはずです。
この理屈に基づいて、私は、過去に何個かの巻線変更を行ってきました。
しかし、この方法には大きな問題があります。
改造が難しいのです。
キドマイティは5極ありますから、1極に150ターン巻くとしたら750ターンも巻かねばなりません。しかも、φ0.07という非常に細い銅線ですから、ちょっと力を加えすぎると切れてしまいます。切れてしまった場合は、またその極を一から巻きなおさねばなりません。
それから、基の銅線の量よりも多く巻くので、ロータの中に詰め込むのも結構大変です。
さらに、モータを完全に分解し、元の巻線を取り去ってしまいますので、元の戻らないかもしれないリスクが多くあります。
そこで、もっと安全にキドマイティのパワーアップをするのが第二の方法です。
この方法はいたって簡単で、キドマイティに使われている磁石よりも強い磁石に取り替えるだけです。
もともと、キドマイティと言う名前は、発売当時最強であった希土類磁石を使用した事に由来しています。
しかし、年月を経て、もっと強力な磁石が現在手に入るようになりました。
希土類磁石には変わりは無いのですが、キドマイティに使用されている磁石は、サマリウム・コバルト磁石、近年の最強の磁石は、ネオジウム・鉄磁石です。
要は、このネオジウム磁石に置き換えてしまおうというだけなのです。
では、実際に、どの程度特性が改善されるのでしょうか。厚さ1mm、幅9.5mm、長さ7.3mmのネオジウム磁石に取り換えて特性を測定してみました。
元の起動トルクが、16gf-cm前後であったものが、磁石の取り換えで22gf-cm前後に大きくなっています。
起動トルクの方も25000rpm前後が20000rpm前後に減少しています。
モータの優劣を判断するのにトルクあたりの回転数の減少量が良く用いられます(小さいほど良い)が、元は、約1600rpm/gf-cm、改善後は、約900rpm/gf-cmと7割程度改善されたことになります。
ネオジウム磁石の購入先ですが、いくつかの所から購入できますので、URLを下記に示します。
株式会社 西興産業
株式会社 二六製作所
森井 義博 (morii yoshihiro)
mory@morii.jp